6月2日(木)より開催された高総体岩手大会サッカー競技。本校は,昨年度新人大会においてベスト8の成績を収めたことから,シード校として出場した。
6月3日(金)の2回戦の黒沢尻北高校戦は,相手校の集中力も高く,決定力のある選手もいることと緒戦ということからであろうか,警戒はしていたものの案の定,不安に思っていた先制点を奪われる。しかしながら,先制されても応援を含めた本校選手たちが一つになることのたいせつさを知っていたのだろう,すぐにキャプテン鈴木雄大選手(水沢中出身)がすばらしいミドルシュートで追いつくと,後半は怒濤の花巻東サッカーが開花する。パスを回しながら崩していくスタイルは,岩手のサッカーの未来をも予感させるような美のサッカーであり,その申し子とさへ言える藤田翼選手(紫波一中出身)・今松諒平選手(金ヶ崎中出身)が,それぞれ逆転のゴールと追加点を奪い緒戦を勝ち上がった。
3回戦は6月4日(土),予想通り勝ち上がってきた盛岡第一高校との対戦となり,1点を争う試合となった。盛岡第一高校の選手は,中学校時代に全国大会を経験している選手が多く,サッカーより集中力の勝負でもあった。試合開始から後半残り10分を切ったところから,3年生大場蒼選手(乙部中ヴェローチェ出身)が得意のドリブルで仕掛け,相手のファウルを誘い,得たフリーキックを本人が直接ゴール左隅に決めて,このゴールが決勝点となり準々決勝へと駒を進めた。フリーキックを蹴る前,本人のボールへ対話する姿はとても印象的であり,応援する選手・父母の会の思いを乗せボールは弧を描きながらゴールへと吸い込まれ,ゴールは当たり前の事のようにすら感じられた。
そして同日,準々決勝戦は逆サイドを勝ち上がってきたのは盛岡中央高校であった。前哨戦となったIリーグにおいて2−2のスコアで引き分けている相手である。選手たちからは,聖地である盛岡南公園球技場に移動した喜びよりも,リーグ戦での決着を付けるという気力が伺えた。この日は二試合となるために,メンタル・フィジカルの両方の他にベンチワーク(戦術)も必要となった。
2試合先発出場していたFW大場選手・MFの藤田選手・DFの雄貴選手(矢沢中出身)に替えて,出場を我慢していたFW牧原玄選手(仙北中ヴェローチェ出身)・MF高橋優磨選手(花巻中出身)・DF柴田拓磨選手(南城中出身)を,監督は思いきって先発出場させた。その監督の思いが伝わったのか,前半中頃から会心のプレーが出始め,ついにFW牧原選手がMF齋藤佳祐選手(飯豊中出身)の正確なクロスを胸でコントロールし,左足を振り抜いて先制ゴールを奪う。先取点を奪った牧原選手は仲間からも祝福と信頼を得,自主的に実施してきた朝練習の成果をかみしめながら監督に歩み寄り,笑顔で期待に応えた姿はチームの一体感を見事に示していた。その後すぐに警戒していたセットプレーから同点とされるものの,メンタル・フィジカルの強さを見せたキャプテンの鈴木選手が再び勝ち越しのゴールを決め,花巻東高校開校以来,初となる準決勝への進出を決めた。
6月5日(日)の準決勝の相手は伝統校の遠野高校。やはりセットプレーから先制されるものの,すぐに,花巻東らしいダイレクトパスによる崩すサッカーが身を結ぶ。藤田選手のゴール! 遠野高校もリセットしながら追加点を奪うが,本校もすぐにコーナーキックから齋藤選手がゴールを奪う。2−2のスコアのまま,新人戦同様延長戦突入かと思われていた後半,伝統校の意地からか,逆転のゴールを許してしまい,そのまま試合終了のホイッスルが鳴った。
試合後,観客席からは拍手とともに「花巻東のサッカーは,とても面白くファンになった」であるとか,「試合内容がすばらしい」等々の評価をいただいていたようだが,負けて惜しまれるようなチームに,いつしか成長してくれていた。
スクールカラーであるすみれ色に包まれた選手たちの表情には,自分たちが目指しているサッカーがサポーターの心を打ち,さらなる選手権大会という大舞台にチャレンジしていく闘志がみなぎりあふれていた。
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